最寄り駅:都営新宿線 東大島駅
徒歩:10分程度
夏の日曜日のある日の午後、id:nmkmn-mgnは東大島の駅に降り立った。
そもそもの目的は、中川船番所資料館、であった。江戸時代の庶民生活に、なんとなく心ひかれるものを感じ、気が向いたときに、関係ありそうな場所、巡っているのである。
展示内容になかなかの満足感を覚え、時計を見るとまだ14時を回った程度。板橋駅付近の自宅に帰るにはまだ早いと思い、周辺を散策することに。道路の向こう側に川が見えていたので、河川敷を歩こうと思い、横断歩道を渡って川へ出た。
水上バスの発着場など、開けた川岸をぶらついて、ぐるりと周囲を見渡すと、向こう岸に小高い丘の公園らしきものが目に入る。好奇心から橋を渡って歩いていくと、今、自分が眺めていた川の、さらに向こうにもう一本、もっと大きな川が見えた。
帰宅後に調べてみると、最初に見ていたのは旧中川で、次の大きな川が荒川であることが分かった。
その、荒川沿いの小高い丘には予想通り公園があり、夏の暑い日であるせいか、日曜日のわりに人出もまばらであった。公園を一周しようと川の流れに合わせるように先を目指すと、なにやら前方に古代アステカ文明を思わせる、なんとなく暑い日差しが射す土地の遺跡のような建造物が現れる。
何かと思って近付いて説明書きを読むと、それは旧小松川閘門といい、かつて閘門として使われたものが、頭頂部およそ三分の一だけ残して地中に埋まった、やはり遺跡のような建造物であった。
古代遺跡を新発見した学者のように、いささか高揚した気分に浸りつつ、ひとしきり様々な角度から夢中で写真を撮る。
<旧小松川閘門>
ようやくのことで落ち着いて、遺跡を後にして公園の端まで行くと、丘から見下ろすように視界が開け、さらに何か面白げな建造物が見える。
恐らく水門であろうが、やけにでかく見える。はやる気持ちを抑えつつ、途中、浮島のような小さな灯台もどき(水位計測用の塔?らしい)に気をとられもしたが、徐々にその建物に近付いていく。
<遠くに見える水門?>
<灯台もどき>
近付いてみると改めて、その大きさに圧倒される。予想通りの水門、ではなくこれまた閘門で、付近に設置されている案内板を見ると、「荒川ロックゲート」なる胸躍るネーミングを見つける。
目的外の出会いに今日一番の興奮を覚え、夢中で写真を撮る。さらに近付くと、なんと門の横に設置されている階段から、水門上部へ登ることができる事を発見。早速登って眺めを楽しむ。荒川ロックゲート隣にある、増水時に放流する為らしき排水水門にもこのとき気づく。
<荒川ロックゲート(荒川に面した側)>
<旧中川に面した側(上記写真の奥側)>
<脇の階段から上れる>
<隣り合う目的の違う二つの水門>
興奮もやや落ち着いて周囲を眺めてみると、門の存在を当たり前のように認識して、一瞥もくれず通過する人と、それなりに驚きはするのだが立ち止まりもせずに通り過ぎる人がほとんどで、なにやら周囲の人と自分との温度差に少しの恥ずかしさを感じる。地元の人には当然で何てことも無いが、初めて見る人間にとっては胸躍る感覚、なのかも知れない。
きっと世の中には、似たようことが数多くあるのだろう。出来るだけ、多くの驚きに出会いたい。ひきこもり気味の中年独身男性、id:nmkmn-mgnは、独りそう思うのであった。
※写真はすべて2015年12月20日撮影のものです