凸型電気機関車やオート三輪など、普段あまり見かけない形をした乗り物に興味をひかれる。ボンネットバスやボンネットトラックもその一つである。
そういったモノたちは、その昔は当たり前のように存在していたのに、もはや製造されていなかったり、ごく限られた用途だけに使われていることが多い。
だからこそ普段見かけることもなく、たまに雑誌やネット動画で見かけたときに強く印象に残って、実際のものを見てみたいという強い動機につながるのだろうと思う。
そんな訳で、ボンネットバスというのは、路線バスとしては既に失われた存在で、たまにイベントなどで走っているバスというイメージだったが、川越の市内巡回バスは、ごく最近まで普通に走っていたらしい。
いずれにせよ、そのボンネットバスが引退して、ボンネットバスの形をした電気自動車が登場したというニュースを遅まきながら知った。それが、ほど近い川越観光用巡回バスということで、早速見学に出かけた。
川越は、池袋から東上線の急行でおよそ30分ほどで到着する。
東上線の改札を出て西口のバス乗り場で、出発前のバス写真を撮ろうと思ったが、停車位置の前にガードレールがあったり、バス待ち用の椅子に人が座っていたりで、いい感じの写真が撮れそうもないので、仕方なくバスに乗って、ひとまず川越市立博物館へ行く。
川越市立博物館は、毎年2月頃にオート三輪が集まって、実際に動いている様子を見ることができるイベントを実施していて、ここ数年行きたいと思いながら日程が合わずに断念し続けている。
普段の展示は特にオート三輪とは特に関係はなく、きれいな館内を一通り見て、時刻表通りなら博物館前の道路を通り過ぎるバスを待つことにする。
しばらく待つと、交差点の向こうにあるバス停を出発したバスが見え、信号で停止したのち、徐々に近づいてくる。
ちょうどよい具合にバスが先頭を走っている。この瞬間を逃すまいと写真を撮るが、日差しをよけるために木陰に移動していたことが災いし、一番いいアングルの写真が暗めになってしまった。
改めて間近で見ると、確かに形はボンネットバス的ではあるものの、なんだかスマートすぎて、イメージの中にある、ずんぐりした、いかにもボンネットバスという感じがなく、物足りない気がした。
一応写真は撮れたものの、もう少しいい感じの写真が撮れないものか、バスに乗って良さそうな撮影ポイントを探してみたが、これぞという場所が見つからない。
結局再度川越駅まで戻ってきたところで、駅へつながっているペデストリアンデッキから見下ろすように写真が撮れそうだと気付いて、バスの到着を待つ。
ちなみに、バスはすべてボンネットタイプで運行されていると思っていたが、一般的な形をしたバスも併用されていて、必ずボンネットタイプが来るとも限らない。
どのタイプが来るかどうかやきもきしながら待っていると、道路の向こうからボンネットタイプが現れ、心の中でガッツポーズを決めながら写真を撮る。
帰宅してデジカメのデータを見ると、せっかく川越まで行ったのに蔵の街を素通りして、バスと境界標の写真しかない。しかし、無理に興味の湧かない観光をしても仕方がないので、まぁいいかと開き直るid:nmkmn-mgnだった。